会社を退職すると、勤務先の健康保険から外れるため、退職後の健康保険を自分で選ばなければなりません。
主な選択肢は、国民健康保険と勤務先の健康保険を継続する任意継続です。
私は53歳の3月末に退職し、妻と子ども3人の5人家族でサイドFIREを始めることを検討しています。
妻は勤務先の社会保険に加入しているため、今回比較するのは、本人と子ども3人の健康保険です。
2026年度の保険料率で試算したところ、国民健康保険は年間約113万円、任意継続は年間約53万円となりました。
今回の条件では、任意継続のほうが年間約60万円安くなる見込みです。
ただし、健康保険料率や標準報酬月額の上限は、加入している健康保険組合や年度によって異なります。この記事の金額は、私の条件による参考試算です。
この記事でわかること
- 国民健康保険と任意継続の違い
- 5人家族で退職した場合の保険料
- 任意継続保険料の計算方法
- 子ども3人を扶養に入れた場合の扱い
- 退職前に確認しておきたいポイント
退職後の健康保険には主に3つの選択肢がある
会社を退職した後の健康保険には、主に次の3つの選択肢があります。
- 国民健康保険に加入する
- 退職前の健康保険を任意継続する
- 家族が加入する健康保険の扶養に入る
私の場合、退職後も一定の副業収入や配当収入を見込んでいるため、妻の扶養に入ることは難しいと考えています。
そのため、本人については国民健康保険と任意継続を比較します。
子ども3人については、私の任意継続の扶養に入れる方法に加えて、妻の健康保険の扶養に移す方法も考えられます。
今回の試算条件
今回の試算条件は次のとおりです。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 退職時の年齢 | 53歳 |
| 退職時期 | 3月末 |
| 家族構成 | 本人、妻、子ども3人 |
| 妻の健康保険 | 勤務先の社会保険に加入 |
| 比較対象 | 本人と子ども3人 |
| 退職前年の給与収入 | 約1,000万円 |
| 国民健康保険料 | 年間約113万円 |
| 任意継続の計算年度 | 2026年度 |
| 任意継続の標準報酬月額上限 | 41万円 |
実際に退職するのは数年後を想定しているため、退職時には、その年度の保険料率と上限額を使って再計算する必要があります。
関連記事:「FIRE後の税金・社会保険料はいくら?退職後1年目の負担を試算」
国民健康保険は年間約113万円
国民健康保険には、会社の健康保険のような扶養制度がありません。
本人だけでなく、国民健康保険に加入する家族も加入者として扱われます。
今回の試算では、妻は勤務先の社会保険に加入しているため、国民健康保険に加入するのは本人と子ども3人です。
退職前年の給与収入を約1,000万円として計算すると、国民健康保険料は年間約113万円となりました。
国民健康保険料は、前年の所得をもとに計算されます。そのため、退職して収入が減っても、退職直後の保険料は高くなりやすい点に注意が必要です。
また、国民健康保険料の計算方法や上限額は、市区町村や年度によって異なります。
任意継続は年間約53万円
任意継続とは、退職前に加入していた健康保険へ、退職後も引き続き加入できる制度です。
原則として、退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があり、資格喪失日から20日以内に手続きする必要があります。
任意継続できる期間は最長2年間です。
退職後は会社による保険料負担がなくなるため、在職中の本人負担分と会社負担分を合わせて自分で支払います。
ただし、保険料の計算に使われる標準報酬月額には上限が設けられている場合があります。
私が加入している健康保険組合では、2026年度の任意継続に使われる標準報酬月額の上限は41万円です。
現在の標準報酬月額は41万円を超えているため、今回の試算では上限の41万円を使用します。
任意継続保険料の計算方法
今回使用する2026年度の保険料率は次のとおりです。
| 項目 | 保険料率 |
|---|---|
| 健康保険料率 | 8.9% |
| 介護保険料率 | 1.68% |
| 子ども・子育て支援金率 | 0.23% |
| 合計 | 10.81% |
53歳は40歳以上65歳未満のため、介護保険料も必要です。
健康保険料
標準報酬月額41万円に、健康保険料率8.9%を掛けます。
410,000円 × 8.9% = 36,490円
健康保険料は、月額36,490円です。
介護保険料
標準報酬月額41万円に、介護保険料率1.68%を掛けます。
410,000円 × 1.68% = 6,888円
介護保険料は、月額6,888円です。
子ども・子育て支援金
標準報酬月額41万円に、子ども・子育て支援金率0.23%を掛けます。
410,000円 × 0.23% = 943円
子ども・子育て支援金は、月額943円です。
任意継続保険料の合計
| 内訳 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 36,490円 | 437,880円 |
| 介護保険料 | 6,888円 | 82,656円 |
| 子ども・子育て支援金 | 943円 | 11,316円 |
| 合計 | 44,321円 | 531,852円 |
任意継続保険料は、月額44,321円、年間531,852円となりました。
なお、実際の保険料には端数処理などがあるため、健康保険組合から提示される金額とわずかに異なる場合があります。
現在の保険料を単純に2倍するわけではない
現在、給与から差し引かれている健康保険料と介護保険料は次のとおりです。
| 項目 | 現在の本人負担 |
|---|---|
| 健康保険料 | 26,357円 |
| 介護保険料 | 5,460円 |
| 合計 | 31,817円 |
任意継続では会社負担がなくなるため、現在の本人負担を単純に2倍すると、月額約63,600円になります。
しかし、実際には任意継続の標準報酬月額に41万円の上限があるため、月額は約44,300円に抑えられる見込みです。
現在と比べると、負担は月約1万2,500円、年間約15万円増えます。
一方、国民健康保険の年間約113万円と比べると、任意継続のほうが大幅に安くなります。
国保と任意継続を比較
今回の試算結果を比較すると、次のようになります。
| 選択肢 | 対象者 | 年間保険料 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 本人+子ども3人 | 約113万円 |
| 任意継続 | 本人+子ども3人 | 約53万円 |
| 差額 | - | 約60万円 |
今回の条件では、任意継続のほうが年間約60万円安い結果となりました。
月額に直すと、国民健康保険は約9万4,000円、任意継続は約4万4,000円です。
退職後の家計にとって、月約5万円の差は小さくありません。
子ども3人を任意継続の扶養に入れても保険料は増えない
任意継続には、被扶養者の仕組みがあります。
扶養条件を満たして健康保険組合から認定されれば、子ども3人を扶養に入れても、原則として保険料は増えません。
そのため、私が任意継続に加入し、子ども3人を扶養に入れた場合でも、保険料は年間約53万円のままです。
子どもの人数が多い家庭では、扶養制度がない国民健康保険より、任意継続のほうが有利になる可能性があります。
ただし、被扶養者として認定されるには、健康保険組合による審査があります。
子どもを妻の扶養に移す方法も確認する
妻は勤務先の社会保険に加入しているため、退職後は子ども3人を妻の健康保険の扶養に移す方法も考えられます。
夫婦ともに収入がある場合、一般的には、今後1年間の収入が多いほうの被扶養者として子どもが認定されます。
退職後に私の給与収入がなくなれば、妻の収入のほうが多くなり、子どもを妻の扶養に移せる可能性があります。
ただし、退職金、事業収入、配当収入などをどのように判断するかは、加入先の健康保険によって確認が必要です。
日本年金機構も、夫婦ともに収入がある場合、原則として年間収入の多いほうの被扶養者として認定すると案内しています。
外部リンク:日本年金機構「被扶養者に異動があったときの手続き」
妻の扶養に移せる場合でも、私の任意継続保険料は変わりません。
一方、私だけが国民健康保険に加入し、子ども3人を妻の扶養に移せれば、国民健康保険料が下がる可能性があります。
そのため、最終的には次の2つを確認したうえで判断します。
- 子ども3人を妻の健康保険の扶養に移せるか
- 本人だけ国民健康保険に加入した場合の保険料はいくらか
任意継続を選ぶ場合の注意点
任意継続が安いからといって、保険料だけで決めるのは避けたいところです。
申請期限が短い
任意継続は、退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。
退職後に比較を始めると、申請期限に間に合わない可能性があります。退職前に必要書類や保険料を確認しておくことが重要です。
加入できるのは最長2年間
任意継続の加入期間は最長2年間です。
2年後は、国民健康保険への加入などを改めて検討する必要があります。
保険料率は年度ごとに変わる可能性がある
健康保険料率、介護保険料率、標準報酬月額の上限は、年度によって変わる可能性があります。
今回の年間約53万円は2026年度の条件による試算です。実際に退職する年度には、必ず最新の保険料を確認します。
国民健康保険料は翌年度に下がる可能性がある
国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されます。
退職翌年は前年の給与所得が反映されるため高額になりますが、退職後の所得が下がれば、その次の年度は国民健康保険料も下がる可能性があります。
そのため、退職直後は任意継続を選び、翌年度以降に国民健康保険料を再計算して切り替える方法も検討できます。
任意継続は、本人の申し出によって途中で資格を喪失することも可能です。ただし、資格喪失の時期や手続きについては、加入している健康保険組合への確認が必要です。
退職前に確認すること
退職前には、次の項目を確認します。
- 任意継続の月額保険料
- 任意継続の申請期限と必要書類
- 子ども3人を任意継続の扶養にできるか
- 子ども3人を妻の健康保険の扶養に移せるか
- 本人だけ国民健康保険に加入した場合の保険料
- 任意継続と国民健康保険の給付内容の違い
- 翌年度の国民健康保険料
- 任意継続から国民健康保険へ切り替える場合の手続き
保険料は加入する年度によって変わるため、退職時期が決まった段階で、健康保険組合と市区町村の両方に確認する予定です。
まとめ|今回の条件では任意継続が年間約60万円安い
53歳の3月末に退職し、本人と子ども3人の健康保険を比較した結果は次のとおりです。
- 国民健康保険は年間約113万円
- 任意継続は年間約53万円
- 任意継続のほうが年間約60万円安い
- 任意継続では子ども3人を扶養に入れても原則として保険料は増えない
- 子ども3人を妻の扶養に移せるかも確認する
- 実際の退職時には最新の保険料率で再計算する
今回の試算では、退職直後は任意継続が有力な選択肢になりました。
これまで、退職後は国民健康保険に加入する前提で試算していましたが、任意継続と比較すると年間約60万円の差があります。
サイドFIRE後に必要な収入を考えるうえでも、健康保険の選び方は家計に大きな影響を与えます。
退職前に国民健康保険と任意継続の保険料を比較し、子どもの扶養先も含めて判断することが重要だと分かりました。