相続した不動産の名義変更が必要になり、司法書士へ依頼せず、自分で相続登記を申請しました。
相続登記と聞くと、「必要書類が多くて難しそう」「専門家に依頼しなければできないのでは」と感じる方も多いと思います。私自身も、最初は何から手をつければよいのか分かりませんでした。
そこで、法務省や法務局の情報を調べ、事前に法務局の登記手続案内も利用して準備を進めました。
この記事では、私が実際に準備した書類、申請当日の流れ、法務局で指摘された間違い、登録免許税などを紹介します。
2026年8月14日に申請し、補正や追加書類を求められることなく、8月21日に相続登記が完了しました。9月3日に法務局を再訪し、登記完了証と3通の登記識別情報通知、原本還付を希望していた書類を受け取りました。
※この記事は、私自身の経験と公的機関の情報をもとに作成しています。相続関係や不動産の状況によって必要書類や申請方法は異なります。実際に申請する際は、管轄の法務局や司法書士などへご確認ください。
この記事でわかること
- 相続登記を自分で行うために準備した書類
- 法務局の登記手続案内を利用した流れ
- 申請当日に指摘された申請書の間違い
- 登録免許税として納付した金額
- 申請当日の流れと手続きにかかった時間
相続登記とは
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったときに、土地や建物の名義を相続人へ変更する手続きです。
不動産を相続しても、名義が自動的に相続人へ変更されるわけではありません。法務局へ申請し、不動産登記簿の所有者を変更する必要があります。
2024年4月1日から相続登記が義務化
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請義務に違反した場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
制度の詳しい内容は、法務省の公式サイトで確認できます。
相続登記を自分で行うことにした理由
今回は司法書士へ依頼せず、自分で相続登記を行うことにしました。
主な理由は、司法書士へ支払う報酬を抑えられることと、自分で手続きを経験してみたかったことです。
もちろん、相続人が多い場合や遺産分割で意見がまとまっていない場合、不動産の権利関係が複雑な場合などは、専門家へ相談した方が安心です。
今回は相続人間で遺産分割の内容が決まっており、事前に法務局へ相談できたため、自分で申請することにしました。
相続登記に向けて準備した書類
今回、法務局へ持参した書類は次のとおりです。
・相続登記申請書
・被相続人の出生から死亡までを確認できる戸籍・除籍謄本等
・被相続人の住民票除票
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産を相続する相続人の住民票
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑登録証明書
・固定資産評価証明書
・相続関係説明図
・被相続人名義の権利証
このうち、住民票除票、住民票、遺産分割協議書、印鑑登録証明書については、原本還付を受けるためのコピーも用意しました。
被相続人名義の権利証も念のため持参しましたが、上記の書類がすべての相続登記で必要になるわけではありません。
相続の方法、相続人の人数、不動産の状況、遺言書の有無などによって必要書類は異なります。
被相続人の戸籍を集める
相続人を確認するため、被相続人の出生から死亡までのつながりが分かる戸籍を集めました。
現在の戸籍謄本だけでは出生までの経緯を確認できないことがあり、除籍謄本や改製原戸籍も必要になります。
転籍や戸籍制度の変更などがあると、複数の戸籍を取得しなければならない場合があります。
私の場合、被相続人の戸籍・除籍謄本等の取得費用は合計4,200円でした。
遺産分割協議書を作成
相続人同士で、誰がどの財産を相続するのかを決め、その内容を遺産分割協議書へ記載しました。
作成した遺産分割協議書には相続人全員が署名し、実印を押しました。また、相続人全員の印鑑登録証明書も用意しました。
不動産については、所在地、地番、家屋番号などを登記事項証明書の記載に合わせ、正確に記入する必要があります。
住所として普段使っている「住居表示」と、登記簿に記載されている「地番」は異なる場合があるため注意が必要です。
相続登記申請書を作成
相続登記申請書は、法務局が公開している様式と記載例を参考にしてWordで作成しました。
法務局の公式サイトでは、相続方法に応じた申請書の様式や記載例が公開されています。
ただし、法務局のウェブサイトを確認すると、掲載されているページによって申請書の形式や記載例が異なる場合がありました。
どの様式を使用すればよいか迷う場合は、管轄の法務局へ事前に確認した方が安心です。
登録免許税は法務局の相談員に確認してもらった
相続登記では、原則として登録免許税を納める必要があります。
一般的な相続による所有権移転登記の登録免許税は、次の計算式で求めます。
登録免許税=不動産の課税価格×0.4%
課税価格は、不動産の一般的な売買価格ではなく、固定資産課税台帳に登録されている価格をもとに計算します。
今回申請した不動産には計算が複雑なものが含まれていたため、自分だけでは正確な金額を判断できませんでした。
そこで、申請前に利用した法務局の登記手続案内で固定資産評価証明書などを提示し、相談員に登録免許税を計算してもらいました。
相談時に案内された登録免許税は11万5,000円でした。
ただし、登記手続案内での確認は正式な審査ではありません。申請後の審査によって金額が変わる可能性があるとの説明も受けました。
また、一定の条件を満たす土地については、登録免許税の免税措置が適用される場合があります。
近所の法務局で事前相談を利用
相続する不動産を管轄する法務局は自宅から遠方にあります。
そこで、最初に近所の法務局で登記手続案内を利用し、相続登記の概要、必要書類、申請書の一般的な記載方法などを確認しました。
その後、実際に登記申請を行う遠方の法務局でも予約を取り、申請内容について確認しました。
どちらの法務局も、予約時点では最短の空きが約3週間先でした。ただし、その後に予約枠の空きが発生し、当初の予定より少し前倒しで相談してもらうことができました。
相続登記を自分で行う場合は、準備を始めてから相談を予約するのではなく、早い段階で予約状況を確認した方がよいと感じました。また、予約後も空きが発生していないか確認すると、予定より早く相談できる場合があります。
近所の法務局では手続きの概要を確認できましたが、最終的には、不動産を管轄する法務局にも申請内容を確認しました。
なお、法務局の登記手続案内は、申請書を代理で作成したり、申請内容を正式に審査したりするものではありません。相談時に確認してもらっても、申請後の審査で補正や追加書類を求められる可能性があります。
実際に法務局で相続登記を申請
2026年8月14日、管轄の法務局へ行き、相続登記申請書を提出しました。
司法書士には依頼せず、自分で準備した書類を持参して申請しました。
申請当日の流れと所要時間
法務局には、予約時間の30分前となる12時30分頃に到着しました。
道中の遅れを考えて余裕をもって出発したことに加え、空いていれば少し早めに案内してもらえるかもしれない、という期待もありました。
しかし、到着した時間は昼休みだったため、登記手続案内は予約どおり13時から始まりました。
書類の確認と申請書の修正を終え、提出が完了したのは13時35分頃でした。
・法務局到着:12時30分頃
・予約した登記手続案内の開始:13時
・申請書の修正・提出完了:13時35分頃
・登記手続案内の開始から申請完了まで:約35分
到着時の窓口は空いていましたが、13時が近づくにつれて来庁者が増えてきました。
事前に法務局へ相談していたため、大きな書類不足はなく、当日の手続きは比較的スムーズに進みました。
窓口で指摘された申請書の間違い
事前にWordで申請書を作成して持参しましたが、窓口で2つの修正が必要になりました。
同じ不動産の申請書を2部用意していた
1つ目は、2つの不動産について別々に申請書を作成するつもりでしたが、誤って同じ不動産について作成した申請書を2部持参していたことです。
そのため、もう一方の不動産については、正しい申請書が用意できていませんでした。
窓口で相談したところ、今回の条件では、2つの不動産を1枚の申請書にまとめて申請できるとの説明を受けました。
その場で新しい用紙を受け取り、職員の案内に沿って、2つの不動産を記載した申請書へ書き直しました。
修正は窓口で完了し、書類を持ち帰って再提出する必要はありませんでした。
複数の不動産を1枚の申請書にまとめられるかどうかは、不動産の所在地、管轄法務局、相続人、登記原因などによって異なる可能性があります。
登記原因の日付を間違えていた
2つ目は、登記原因の日付です。
私は法務局へ申請した2026年8月14日を記入していましたが、相続による登記の場合は、被相続人が亡くなった日を記入するとの説明を受けました。
そのため、窓口で被相続人の死亡日に修正しました。
申請書を法務局へ提出する「申請日」と、相続が発生した「登記原因の日付」は別なので、申請書を作成するときには注意が必要です。
登録免許税として11万5,000円を納付
法務局の登記手続案内で相談員に計算してもらった金額をもとに、申請当日は登録免許税として11万5,000円を納付しました。
法務局内の別の窓口で11万5,000円分の収入印紙を購入し、申請書と一緒に提出しました。
ただし、今回申請した不動産には計算が複雑なものが含まれています。申請後に登録免許税の追加納付を求められることはなく、最終的な登録免許税も11万5,000円でした。
登録免許税だけでなく、戸籍謄本、住民票、印鑑登録証明書、コピー、交通費を含めた実費は、合計12万5,310円でした。司法書士へ依頼する場合との費用差は、次の記事で詳しく比較しています。
関連記事:「相続登記を自分でやると費用はいくら?実費12万5,310円と司法書士報酬を比較」
原本還付と完了書類の受け取り
登記完了後の書類を受け取るため、2026年9月3日に管轄の法務局を再び訪れました。
今回受け取った完了書類は、登記完了証と登記識別情報通知です。
登記識別情報通知は、不動産ごとに1通ずつ、合計3通交付されました。
・マンション:1通
・祖母宅の土地:1通
・祖母宅の建物:1通
登記識別情報通知は、従来の権利証に相当する重要な書類です。不動産を売却したり、新たに抵当権を設定したりする際に必要になるため、大切に保管します。
また、原本還付を希望していた次の書類も返却されました。
・除籍謄本
・除住民票
・戸籍謄本
・住民票
・遺産分割協議書
・印鑑登録証明書
遠方の法務局へ申請する場合は、登記完了後の書類を郵送で受け取れるか、申請時に確認しておくと移動の負担を減らせる可能性があります。
補正なしで2026年8月21日に登記完了
2026年8月14日に相続登記を申請し、登記完了証に記載された登記完了年月日は8月21日でした。申請から7日後に登記が完了したことになります。
法務局からは、完了書類の受け取りについて「8月27日の午後以降に来てください」と案内されていました。実際には9月3日に法務局を再訪して受け取りました。
申請後、法務局から補正や追加書類の連絡はありませんでした。登録免許税の追加納付もなく、申請時に納めた11万5,000円で確定しました。
自分で相続登記を申請して感じたこと
今回、申請書に間違いはありましたが、職員の案内を受けながら、その場で修正できました。
事前に法務局の登記手続案内を利用していたため、大きな書類不足はなく、登記手続案内が始まってから申請書の提出が完了するまでは、約35分でした。
一方で、2つの不動産を1枚の申請書にまとめられることや、登記原因の日付には被相続人の死亡日を記載することなど、実際に窓口で確認して初めて分かった点もありました。
自分で相続登記を行う場合は、公表されている記載例だけで判断せず、事前に管轄の法務局へ確認しておくことが大切だと感じました。
相続登記が終わったあと、私が次に確認したのは、相続税の申告が必要かどうかでした。預貯金だけでなく、再建築不可の土地やマンションの評価方法が分からなかったため、税理士への相談も行っています。
関連記事:「相続税はかからないと思っていた私が税理士に相談した理由|不動産の評価が分からなかった」
まとめ
相続登記は、必要書類を集めて申請書を作成すれば、自分で申請することもできます。
今回、私は司法書士へ依頼せず、事前に法務局へ相談しながら準備を進めました。
申請当日は2か所の修正が必要になりましたが、その場で対応でき、約35分で受付が完了しました。その後は補正や追加書類を求められることなく、2026年8月14日の申請から7日後となる8月21日に登記が完了しました。
登録免許税は、申請時に納付した11万5,000円で確定しています。9月3日に法務局を再訪し、登記完了証、3通の登記識別情報通知、原本還付を希望していた書類を受け取りました。
自分で相続登記を行うには書類の収集や申請書の作成が必要ですが、法務局の登記手続案内を活用したことで、専門家へ依頼せず完了できました。
※制度や必要書類は変更される可能性があります。申請時には、法務省・法務局の最新情報を確認し、判断に迷う場合は管轄の法務局や司法書士などへご確認ください。