相続登記を司法書士へ依頼せず、自分で手続きすると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
私は、相続したマンションと祖母宅の土地・建物について、司法書士へ依頼せず、自分で相続登記を申請しました。
2026年8月14日に申請し、補正や追加書類を求められることなく、8月21日に登記が完了しました。登録免許税、証明書の取得費用、交通費などを合計した実費は12万5,310円です。
この記事では、私が自分で相続登記を行った際の費用内訳と、司法書士へ依頼する場合に加わる報酬について比較します。
※この記事は、私自身の経験と公的機関の情報をもとに作成しています。不動産や相続の状況によって費用・必要書類は異なります。実際に申請する際は、管轄の法務局や司法書士などへご確認ください。
この記事でわかること
・自分で相続登記を行った際の費用内訳
・登録免許税として実際に支払った金額
・書類取得費用や交通費を含めた総額
・司法書士へ依頼する場合に加わる報酬
・自分で手続きする場合と依頼する場合の違い
相続登記の費用は大きく3つ
相続登記で必要になる費用は、大きく分けると次の3つです。
・登録免許税
・戸籍謄本などの書類取得費用
・司法書士へ依頼する場合の報酬
自分で手続きする場合でも、登録免許税と書類取得費用は原則として必要です。
司法書士へ依頼すると、これらの実費に司法書士報酬が加わります。
自分で相続登記をする場合の費用
自分で相続登記をする場合、主に次の費用がかかります。
・登録免許税
・戸籍謄本等の発行手数料
・住民票や印鑑証明書の発行手数料
・固定資産評価証明書などの発行手数料
・登記事項証明書の取得費用
・郵送費や交通費
・書類のコピー代
司法書士報酬はかかりませんが、必要書類を集め、申請書を作成するための時間と手間が必要です。
登録免許税
相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として次の計算式で求めます。
登録免許税=課税価格×0.4%
例えば、課税価格が1,000万円の場合、単純計算では登録免許税は4万円です。
1,000万円×0.4%=4万円
課税価格は、一般的な売買価格ではなく、固定資産課税台帳に登録されている不動産の価格をもとに計算します。
税額を計算するときには端数処理のルールがあります。また、一定の条件に該当する土地については、登録免許税の免税措置を利用できる場合があります。
免税措置には適用条件と期限があるため、申請時点の法務局の情報を確認する必要があります。
戸籍謄本などの取得費用
相続登記では、相続人を確認するために戸籍謄本などを集めます。
一般的な遺産分割による相続登記で取得する書類には、次のようなものがあります。
・戸籍謄本
・除籍謄本
・改製原戸籍
・住民票
・住民票の除票
・戸籍の附票
・印鑑証明書
・固定資産評価証明書
必要な通数や書類の種類は、相続人の人数、転籍の回数、遺言書の有無などによって変わります。
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集める場合、複数の戸籍が必要になり、取得費用も増えることがあります。
郵送費・交通費・コピー代
書類を郵送で取り寄せたり、法務局へ申請書を郵送したりする場合は、郵送費が必要です。
法務局の窓口へ申請する場合には、交通費もかかります。
また、原本還付を希望する書類のコピーや、申請書の控えを作成するためのコピー代も必要になります。
一つひとつは小さな金額でも、すべて合計して実際の費用として記録しておくことが大切です。
司法書士へ依頼する場合の費用
司法書士へ相続登記を依頼する場合は、登録免許税や書類取得費用などの実費に加えて、司法書士報酬が必要です。
司法書士の報酬は全国一律ではありません。それぞれの司法書士が報酬額や計算方法を定めています。
また、表示されている基本報酬だけでなく、依頼する業務の範囲によって総額が変わります。
・戸籍の収集
・相続関係説明図の作成
・遺産分割協議書の作成
・登記申請書の作成と提出
・登記完了後の書類受領
・不動産や相続人が増えた場合の加算
・遠方への出張や郵送
司法書士へ相談するときは、どこまでが基本報酬に含まれているのかを確認する必要があります。
司法書士報酬は一律ではない
日本司法書士会連合会によると、司法書士の報酬は各司法書士が自由に定めることになっています。
そのため、「相続登記は必ず○万円」と一律に示すことはできません。
同じ相続登記でも、相続人の人数、不動産の数、管轄法務局の数、戸籍収集の必要性などによって報酬が変わる可能性があります。
依頼を検討する場合は、業務内容と費用の内訳が記載された見積書を確認することが重要です。日本司法書士会連合会が2024年3月に実施した報酬アンケートでは、相続による所有権移転登記の設例に対する司法書士報酬の平均は7万4,888円でした。
この設例は、土地1筆と建物1棟、固定資産評価額の合計1,000万円、法定相続人3名のうち1名が単独で相続するケースです。戸籍謄本等5通の交付請求、遺産分割協議書と相続関係説明図の作成、登記申請の代理が業務に含まれています。
私の相続登記とは、不動産の数や固定資産評価額などの条件が異なるため、この平均額がそのまま当てはまるわけではありません。また、登録免許税や証明書の発行手数料などの実費は、司法書士報酬とは別に必要です。
複数の不動産がある場合の考え方
今回は、マンションと祖母宅の土地・建物について相続登記を行い、登記識別情報通知を合計3通受け取りました。
複数の不動産がある場合でも、司法書士報酬が単純に不動産の数だけ倍になるとは限りません。土地と建物の数、所在地、管轄法務局、相続する人などによって、申請方法や報酬が変わる可能性があります。
特に確認したいのは、次の点です。
・不動産の個数
・不動産を取得する相続人
・不動産を管轄する法務局
・登記原因と申請内容
・申請書を分ける必要があるか
複数の不動産が同じ法務局の管轄内にあり、同じ相続人が取得する場合と、異なる法務局へ申請する場合とでは、司法書士の作業量や費用が変わる可能性があります。
見積もりを依頼するときは、「不動産が2件ある」と伝えるだけでなく、土地・建物の所在地や管轄法務局も伝えた方が、正確な金額を確認しやすくなります。
私の場合は、再建築不可の土地とマンションを相続したため、登記費用とは別に相続税評価も確認する必要がありました。評価方法が分からず、無料相談で税理士に確認した内容を次の記事にまとめています。
関連記事:「相続税の無料相談で税理士に聞いてみた|再建築不可の土地とマンションの評価方法」
自分で行う場合と司法書士へ依頼する場合を比較
自分で手続きを行う最大のメリットは、司法書士報酬を抑えられることです。
一方で、必要書類の確認、戸籍の収集、登録免許税の計算、申請書の作成などをすべて自分で行う必要があります。
自分で行う場合
・司法書士報酬を抑えられる
・登記の仕組みを理解できる
・書類の準備に時間と手間がかかる
・間違いがあると補正が必要になる場合がある
司法書士へ依頼する場合
・書類の作成や申請を任せられる
・複雑な相続でも相談しながら進められる
・司法書士報酬が必要になる
・依頼範囲と費用を事前に確認する必要がある
金額だけではなく、自分が手続きに使える時間や、相続関係の複雑さも含めて判断することが大切です。
自分で手続きしやすいケース
次のような場合は、自分で相続登記を進めやすいと考えられます。
・相続人の人数が少ない
・相続人全員の連絡が取れる
・遺産分割の内容が決まっている
・相続関係が複雑ではない
・必要書類を自分で集められる
・法務局の資料を確認する時間がある
ただし、自分で申請できるかどうかは、個別の状況によって異なります。
司法書士への依頼を検討したいケース
次のような場合は、司法書士への相談を検討した方が安心です。
・相続人が多い
・複数回の相続が発生している
・不動産の名義が何世代も前のままになっている
・相続人に未成年者や認知症の方がいる
・遠方に不動産がある
・多数の不動産がある
・書類を集める時間がない
・申請内容に不安がある
遺産分割について争いがある場合や、相続税について判断が必要な場合は、相談内容に応じて弁護士や税理士への相談も必要になります。
私が自分で相続登記を選んだ理由
私は、相続関係や不動産の状況を確認したうえで、今回は自分で相続登記を行うことにしました。
主な理由は、司法書士報酬を抑えられることと、自分で手続きを経験してみたかったことです。
実際に準備を始めると、必要書類を把握することや、不動産の情報を正確に申請書へ記載することに時間がかかりました。
費用だけを比べると自分で行う方が安くなりますが、調査や書類作成に使った時間も含めて考える必要があると感じています。
必要書類、申請当日の流れ、窓口で指摘された間違いについては、「相続登記を自分でやってみる|事前準備・必要書類・手続きの流れ」で紹介しています。
実際にかかった費用は12万5,310円
今回、自分で相続登記を行うために支払った費用は、合計12万5,310円でした。
・登録免許税:115,000円
・被相続人の戸籍・除籍謄本等:4,200円
・被相続人の住民票除票:150円
・相続人の戸籍謄本:900円
・住民票:300円
・印鑑登録証明書:700円
・固定資産評価証明書:0円
・郵送費:0円
・交通費:4,000円
・コピー代:60円
・合計:125,310円
交通費4,000円は、管轄の法務局へ申請に行ったときと、完了書類を受け取りに行ったときの2往復分のガソリン代です。それぞれ概算2,000円として計算しました。
2026年8月14日の申請時に、登録免許税として11万5,000円分の収入印紙を購入しました。申請後に追加納付を求められることはなく、この金額で確定しています。
登記は8月21日に完了し、9月3日に登記完了証と3通の登記識別情報通知、原本還付を希望していた書類を受け取りました。補正や追加書類の提出はありませんでした。
司法書士へ依頼した場合との比較
登録免許税や証明書の発行手数料は、自分で手続きしても、司法書士へ依頼しても原則として必要です。
自分で手続きした今回の実費は12万5,310円でした。これに、日本司法書士会連合会の報酬アンケートに掲載された平均額7万4,888円を単純に加えると、合計は20万198円になります。
・自分で行った場合の実費:125,310円
・司法書士報酬の参考額:74,888円
・単純に合計した参考額:200,198円
・差額:74,888円
ただし、私は司法書士から実際の見積もりを取ったわけではありません。また、アンケートの設例と私の相続登記では、不動産の数や固定資産評価額などの条件が異なります。
そのため、7万4,888円は今回の依頼額ではなく、司法書士へ依頼した場合に加わる報酬を考えるための参考値です。
自分で手続きしたことで司法書士報酬はかかりませんでしたが、必要書類の収集、申請書の作成、法務局への相談や移動には時間と手間がかかりました。費用だけでなく、こうした負担も含めて比較する必要があります。
まとめ|自分で行った相続登記の実費は12万5,310円
今回、司法書士へ依頼せず、自分で相続登記を行った際の実費は12万5,310円でした。
このうち、登録免許税が11万5,000円を占めています。そのほかに、戸籍謄本や住民票などの取得費用、法務局へ2往復した交通費、コピー代がかかりました。
2026年8月14日に申請し、補正や追加書類を求められることなく、8月21日に登記が完了しました。9月3日には、登記完了証、3通の登記識別情報通知、原本還付を希望していた書類を受け取っています。
日本司法書士会連合会の報酬アンケートでは、一定の条件による相続登記の司法書士報酬は平均7万4,888円でした。今回の実費に単純に加えると20万198円ですが、私の事例とアンケートの設例では条件が異なります。
司法書士へ依頼すれば、書類の取得や作成、申請などの負担を軽減できます。一方、自分で手続きすれば司法書士報酬を抑えられます。
どちらを選ぶかは、金額だけでなく、相続関係の複雑さ、使える時間、書類作成への不安なども含めて判断することが大切だと感じました。
※制度や費用は変更される可能性があります。申請時には、法務省・法務局、日本司法書士会連合会などの最新情報をご確認ください。